固定費は削る派です。格安SIMに変え、保険は掛け捨てだけにしました。

そのなかで、電気とガスは長いあいだ変えていませんでした。 電気は昔ながらの従量電灯、ガスも従来のまま。安いプランがあるのは知っていて、それでも動きませんでした。

そして最近、両方まとめて切り替えました。しかも切り替え先は、燃料費調整額に上限が無い契約です。

長年避けてきたものを、自分で選んだことになります。そのあたりを書きます。

安い代わりに、上限が無い

電力の小売が自由化されて、電気の契約は大きく3つに分かれました。規制料金・自由料金・市場連動型です。

平常時はどれが安いかというと、たいてい自由料金や市場連動型の方が安くなります。 規制料金は昔ながらの契約で、割安ではありません。だから多くの人が乗り換えるわけです。

では何が違うのか。燃料価格が跳ね上がったときに、どこまで請求に乗るかです。

契約の種類 平常時の料金 燃料費調整額の上限 高騰時の振れ
規制料金(従量電灯など) 高め 上限あり 小さい
自由料金 安め 上限が無い契約が多い 中〜大
市場連動型 安め 市場価格に直結 大きい

安さと引き換えに、上振れのリスクを契約者が引き受けている。 これが基本の構造です。ガスも原料費調整という同じ仕組みがあり、考え方は変わりません。

2022年から2023年に何が起きたか

その構造が実際に効いたのが、2022年から2023年の燃料価格高騰でした。

規制料金は、燃料費調整額に上限があります。燃料価格が上がっても、上限に達したらそこで止まります。実際に上限まで到達し、そこから先は電力会社の負担になりました。

自由料金にはこの上限を設ける義務がありません。もともと上限が無い契約も多く、さらに2022年10月から12月にかけて、複数の電力会社が自由料金プランの上限を撤廃しました。止める仕組みが無いので、高騰分はそのまま請求に乗り続けます。

その結果、2023年の一時期は自由料金が規制料金を上回るという逆転まで起きました。普段は安いはずの方が高くなったわけです。

市場連動型はもっと直接的です。日本卸電力取引所(JEPX)の価格にそのまま連動するので、市場が跳ねれば請求も跳ねます。普段より何倍もの請求が届いた、という話がいくつも出ました。

なお、この逆転がずっと続いているわけではありません。燃料価格が落ち着いた今は、また自由料金の方が安い状態に戻っています。普段は安く、たまに跳ねる。 そういう性質のものだと理解しています。

安いときに得をする仕組みは、実はいいことばかりではなく、逆に振れたときに問題が起きます。

長く従来の契約を変えなかった理由

自分が変えなかったのは、上振れのリスクの大きさを測れなかったからです。

2022年のような局面がどのくらいの頻度で来るのか。来たときに家計へどれだけ効くのか。平常時に浮く金額と釣り合うのか。ここに自信を持って答えられませんでした。

投資でも「相場を読む才能はない」と思っていて、だからインデックスに寄せています。電気とガスも同じで、価格の先行きを読む前提の商品は自分には向いていないと考えました。

分からないものには賭けない、という程度の判断です。固定費削減の記事としては歯切れが悪いのですが、そういう理由でした。

それを、上限が無い契約に変えました

最近、電気とガスをJAL系のサービスにまとめました。

調べたとおり、電気もガスも燃料費調整額(ガスは原料費調整額)に上限がありません。 電気の方は提供元も、上限に達しているエリアでは地域の電力会社より請求が高くなる場合があると明記しています。

つまり高くなる局面があると分かっている状態で、自分から選んだことになります。

目的は「安くなること」ではありません

切り替えた理由は、料金ではありません。JALの上級会員資格を取りたかったからです。

飛行機の上級会員資格には、搭乗のほかに、グループのサービス利用でも積み上がる仕組みがあります。電気とガスをそこにまとめると、毎月の支払いが資格に向かって積み上がります。

ここで貯まるのは、買い物に使えるポイントではありません。旅そのものの質が変わるものです。座席、ラウンジ、優先搭乗。使って消えるお金ではなく、これから何度もする旅の体験の質が上がる。自分が欲しかったのはそちらでした。

だからこれは節約の話ではなく、使い方の話です。

「安くなりましたか」と聞かれると、少し答えにくいところがあります。平常時はおそらく安くなります。 ただ2022年のような局面が来たら、上限が無いぶん請求は跳ねます。その振れを引き受ける代わりに旅を良くする、という取引をしたつもりです。

同じことを、クレジットカードでも一度やっています。以前は「年会費無料で1%還元があれば有料カードは不要」と思っていました。今は年会費を払っています。理由は還元率ではなく、良い旅ができるからです。支払う額が増えても、得られる体験が上回るなら払うという判断に変わりました。

電気とガスも同じ流れの中にあります。リスクの見方が変わったわけではなく、取りたいものができたので、条件を確認したうえで引き受けたということです。

長年リスクを理由に動かなかった人間が、旅のために上限なしを選んだわけで、書いていて多少おかしいなとは思っています。

「安いから」だけで選ばないほうがいい

ここまで読むと「上限のある契約以外は選ぶな」という話に見えるかもしれませんが、そうは思っていません。自分が選んでいますし。

上限が無い契約を選ぶのも、リスクを分かっていれば十分に選択肢です。 平常時は安いわけですし、2022年のような局面が数年に一度なら、トータルでは得になる可能性の方が高いかもしれません。市場連動型も、価格を見ながら使い方を調整できる人には向いています。

危ないのは、安さの理由を知らないまま選ぶことだと思っています。

安い契約には理由があります。そのうちの一つが「価格変動のリスクを契約者が引き受けている」という設計です。それを承知で選ぶのと、知らずに選ぶのは、同じ契約でも全く違います。2022年に困った人の多くは、後者だったのではないかと思います。

まとめ

電気とガスで大事なのは、乗り換えるかどうかより、自分がいまどういう契約をしているかを知っているかでした。

検針票かマイページを開いて、契約名と、燃料費調整額(ガスは原料費調整額)に上限があるかを確認してください。ここが分かってから、乗り換えの損得を比べる順番になります。

自分は長く確認して動かず、最後は旅のために上限なしを選びました。判断の中身は変わりましたが、条件を知ってから決めたという点は変えていません。

固定費全体をまとめて見直すなら、年間の合計を出すところからでもいいと思います。

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※本記事は2026年8月時点の情報に基づく個人の見解です。料金プランの内容や燃料費調整額・原料費調整額の扱いは、電力・ガス会社および契約時期によって異なります。実際の契約内容は各社の公式情報および検針票でご確認ください。特定のサービスを推奨するものではありません。


本記事は個人の見解であり、特定の金融商品の勧誘・推奨ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。