両親は高卒で、大学進学のときに「大学行くの? 運転免許があれば生きていけるんだから」と言われました。

納得できなかったので、大卒と高卒の生涯年収差を自分で調べて、親にプレゼンしました。結果、進学を認めてもらえました。

先日、SNSで「大卒と高卒の生涯年収差は1,000万円くらい。学費を運用に回していれば逆転する」という話を見かけて、当時のことを思い出しました。

改めて調べてみました。当時の自分が見ていなかった、もっと大きな差が出てきました。

大卒と高卒の差は、約4,000万円

参照したのは、労働政策研究・研修機構(JILPT)の『ユースフル労働統計2025』です。生涯賃金の推計が学歴別・企業規模別に出ています。

男性・退職金を含めず・定年まで働いた場合の生涯賃金です。

学歴 生涯賃金
高校卒 約2億2千万円
大学卒 約2億6千万円
約4,000万円

「差は1,000万円」という数字より、だいぶ大きくなります。退職金を含めれば差はもう少し開きます。

高卒は18歳から、大卒は22歳から働く前提なので、高卒が4年多く働くことは既にこの数字に織り込まれています。

企業規模の差の方が、倍以上大きい

驚いたのはここでした。

同じ大学卒でも、入った会社の規模でこれだけ違います。

企業規模(男性・大学卒) 生涯賃金
1,000人以上 約3億円
10〜99人 約2億1千万円
約9,000万円

学歴による差が約4,000万円で、企業規模による差が約9,000万円。倍以上あります。

しかも大学を出ていても従業員10〜99人の会社なら約2億1千万円で、これは高卒の平均である約2億2千万円を下回ります。

※高卒の約2億2千万円は全企業規模の平均値なので、規模別に見た大卒の数字と厳密に同じ土俵の比較ではありません。それでも「大卒だから安泰」とは言えないことは読み取れます。

「学費を運用していれば逆転する」を検算する

冒頭の主張のもう一つの論点です。大学に払う学費を運用に回していたら、という話。

高卒の人が、大学の学費400万円を18歳から60歳まで42年間、年5%で運用したとします。

運用するお金 期間 60歳時点
学費400万円を一度だけ入れる 18歳→60歳(42年) 約3,100万円

たしかに大きい。ただ、生涯賃金の差は約4,000万円でした。運用しても届いていません。

しかもこれは大卒側が1円も運用しない前提の計算です。大卒側は年収が高いぶん、その差額を投資に回せます。

年収差を単純に年100万円として、22歳から60歳まで同じく年5%で積み立てた場合を並べます。

運用するお金 期間 60歳時点
学費400万円を一度だけ入れる(高卒側) 18歳→60歳(42年) 約3,100万円
年収差100万円を毎年入れる(大卒側) 22歳→60歳(38年) 約1億1,000万円

同じ条件で両方を回すと、差は縮むどころか広がる計算になりました。片方だけ運用させると、結論が変わってしまいます。

※どちらも年1回・年末に入金し、年5%で運用した場合の概算です。手数料と税金は考慮していません。

4年間をどう使うかの方が効いた

ここまで金額の話ばかりしてきましたが、自分が振り返って良かったと思っているのは、実は金額ではありません。

大学は奨学金で進学しました。返済が必要なものだけでなく、成績要件のある返済不要の奨学金を自分で調べて申請し、獲得しました。 家計が厳しかったことも要件に合っていました。

このとき親が評価してくれたのは「大学に行ったこと」ではなく、自分で調べて動いたことでした。返済型の分は、結果的に親が返してくれました。

就職活動のときも、「年収1,000万円を狙える会社」という軸を先に決めて絞りました。SPIは「これで評価されるなら」と何周も繰り返しました。上の統計を見ると、この判断は金額としても間違っていなかったことになります。

学歴そのものより、その4年間をどう使ったかの方が効いたと思っています。同じ大学を出ても、何も調べず何も準備しなければ、企業規模の差の下側に入る可能性は普通にあります。

制度は、知っていて申請した人だけが使えます。返済不要の奨学金も、ふるさと納税も、控除も、構造は同じです。

まとめ

生涯年収を分けるのは、学歴だけではありませんでした。統計上は企業規模の差の方が倍以上大きいという結果です。

そして「学費を運用していれば」という話は、運用しても差額に届かず、両方が運用すればさらに開きます。

進学を考えている方、あるいはお子さんの進路を考えている方は、まず進学にいくらかかるのかを具体的な金額にしてみてください。 漠然とした不安のままだと判断できませんが、金額が出れば「いつから、月いくら積み立てればいいか」という問いに変わります。

教育費シミュレーター|進路別の総額と、今から月いくら積み立てればいいかを計算する

※本記事の生涯賃金は、労働政策研究・研修機構(JILPT)『ユースフル労働統計2025』の推計値(男性・退職金を含まない・2024年の統計に基づく)を参照しています。運用の試算は年5%で計算した概算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。


本記事は個人の見解であり、特定の金融商品の勧誘・推奨ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。