貯蓄型保険を、2つ整理しました。自分名義の米ドル建て養老保険と、両親が長く入り続けていた変額保険です。

保険としてのタイプはまったく違います。それでも仕組みを分解してみると、どちらも「持ち続ける理由がない」という同じ結論にたどり着きました。

利回りの計算方法は別の記事に書いたので、この記事は仕組みの分解と実際に解約するときの話を中心にします。

保障は「薄くする」ことで、数字を良く見せていた

自分の保険は、米ドル建ての年金支払型養老保険でした。設計書には、それなりの返戻率が書いてあります。

分解して分かったのは、死亡保険金があえて低く設定されているということでした。多くの人は「返戻率が高い=お得」と読みますが、実際は逆です。保険会社が受け取る保険料のうち、保障に回す分を薄くするほど、貯蓄側に回る分が増え、返戻率は良く見えます。

「保険部分が大きい商品」ではなく、「保障が薄い商品」だった、というのが正確な理解でした。

積立利率も、外貨の基準金利からそのまま決まるわけではありません。基準金利から、新契約費や維持費といった保険会社側のコストを差し引いて設定されています。自分でXIRR(内部収益率)を計算してみると、運用部分の実質的な利回りは思っていたより低いものでした。

保障と運用に分けてみて、もう一つ気づいたことがあります。自分が知らないうちに、この保険を通じて債券を持っていたということです。資産形成の途中である以上、株式と現金で足りるはずで、債券を持つ必要はありませんでした。要らないものを、割高な形で持っていたことになります。

一度は解約せず、払込だけを止める「払済」にして様子を見ていた時期もあります。それでも結局、持ち続ける理由が見当たらず、解約しました。

両親の保険は、運用先ではなく「箱」が悪かった

両親が入っていたのは変額保険でした。こちらは仕組みが違います。

変額保険には、大きく3つの費用がかかります。

費用 引かれるタイミング
保険関係費 払い込む保険料から
運用関係費 運用に回っている資産(特別勘定)から
解約控除 解約したとき

保険料を払うたびに費用が引かれ、運用中もさらに費用が引かれ、解約するときにも費用がかかる。三重に費用がかかる構造です。

変額保険は、運用する商品(特別勘定)を契約者が選べる仕組みです。両親が選んでいたのは外国株式で、運用そのものは増えていました。

問題は中身ではなく、箱でした。同じ外国株式を、保険ではなく通常の投資信託で直接持っていれば、保険関係費・運用関係費・解約控除という3層のコストはかかりません。運用先の選択は悪くなかったのに、保険という入れ物に入れていたせいで、増えた分の一部がそのままコストに消えていたことになります。これが両親の保険を整理した理由でした。

養老保険と変額保険、増え方の違い

2つの保険は、増え方の設計そのものが違います。

  • 養老保険:契約時に決めた利率で運用される。市場が良くても、その利率を超えて増えることはない
  • 変額保険:運用実績によって増減する。株式相場が良ければ増えるが、下がれば元本割れもある。その代わり費用は多層にかかる

自分の場合は「知らないうちに債券が混じり、伸びしろが小さい」商品を、両親の場合は「運用先は悪くないのに、保険という箱のせいで費用が重い」商品を持っていたことになります。理由は違いますが、どちらも資産形成のコアには向いていませんでした。

解約するときの税金 — 特別控除は年またぎで使える

解約で受け取ったお金は、一時所得として課税されます。計算式はこうです。

(受取額 − 払込保険料 − 特別控除50万円) × 1/2

この特別控除50万円は、毎年使えます。なので、両親の保険は1年でまとめて解約せず、年をまたいで手続きしました。

1年目にまず減額して、その分だけ解約。残りは「払済」にして、これ以上は払わないようにしておきます。翌年、残り全部を解約する。1年あたりの利益を50万円に収めれば、課税される額は出ません。

払済にした時点では課税されず、実際にお金を受け取った年に課税されます。この性質を使った形です。

※特別控除50万円は、その年の一時所得すべてに対して1回です。満期保険金や懸賞金など、他の一時所得があると枠を分け合うことになります。

保険は、不幸が当たる宝くじ

保険を分解していくと、結局こういう理解に落ち着きました。

保険は、不幸が当たる宝くじのようなものです。保険料という掛け金を払い、何かが起きたときだけ当たりが出ます。

それでも買う価値があるのは、当たったときに生活が壊れるものだけです。自分が死んだときの家族の生活費のように、確率は低くても、外れたときの被害が大きすぎるもの。そこに保険を使う意味があります。

貯蓄型保険は、この条件に当てはまりません。掛け金の大半が戻ってくることが前提の商品で、外れても生活が壊れるほどの保障がついていないからです。保障は保障として最低限で持ち、貯蓄は貯蓄として別に持つ。分けて考えるようになってから、判断に迷わなくなりました。

必要な保障額を、公的保障を差し引いたうえで計算できるツールを作っています。

生命保険の必要保障額計算機|公的保障を引くといくら必要か
貯蓄型保険の利回り計算機|投資信託と並べるとどうなるか

保険証券が手元にあるなら、まず利回りを計算してみてください。数字にしてみると、続けるかどうかの判断がしやすくなります。

※本記事の税制・計算式は2026年時点のものです。実際の税額・条件は契約内容や個別の事情によって異なります。判断の前に、ご自身の保険証券・設計書をご確認ください。


本記事は個人の見解であり、特定の金融商品の勧誘・推奨ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。